「VR能 攻殻機動隊」の札幌公演-感想

どうも、あぐです。
年末年始もあっという間に過ぎ去り、早くも1月中旬ですね。
2022年もよろしくお願いいたします。
さて、唐突ですが「VR能 攻殻機動隊」の札幌公演を鑑賞してきたので忘れないうちに感想を書き留めておこうと思います。
ネタバレも含みますので気になる方はご注意くださいませ。
(既に東京公演が終了しており、札幌公演も今日1日しかありませんので今後鑑賞の機会があるのかは不明ですが、念の為…苦笑)
初めての「能」
能楽堂に通われているなど昔からのファンの方々にはお叱りを受けそうですが、私自身は今回初めての「能」鑑賞でした。
作品タイトルの通り、伝統的な能とはまた別のいわゆる「新作能」に分類される立ち位置であるため、初めてなのにそこから入るのはどうなんだろうという声もありそうだったのでこのような文の滑り出しとなりました。笑
しかし、私個人としてはこの作品が初めてで良かったと感じた部分が多くあり、その点について書いてみたいと思います。
以下に、箇条書きでまとめてみます。
・冒頭で声優の下野紘さんによる説明パートがあり(能・攻殻機動隊について)わかりやすい
・時間が1時間程度なので鑑賞しやすい
・原作を知っていることによる没入感
主に挙げるならば、この3つでしょうか。
とにかく入っていきやすかった!
下野さんによる説明パートは10分ほどで、ポイントを押さえて能と攻殻機動隊を絡めつつ丁寧に解説があったので観る時に意識するポイントがわかりやすかったです。
また、私は古典の知識はサッパリと言っていいほどありませんが(ゴメンナサイ)攻殻機動隊なら原作を読んだので登場人物もイメージしやすく、すんなりと入り込むことができました。
昨今は歌舞伎などの伝統舞台芸術でも、現代アニメや漫画が題材だったりと「新作」が多いので敷居が取っ払われてる感じがしていいですね。
それをきっかけに古典の方も興味が出て鑑賞するきっかけになったり、楽しみが広がる気がします。
舞台上の境界はどこ?現実と幽世
さて、そもそもVR(ヴァーチャルリアリティ)で舞台でどうやるんだろう?ワクワクするなぁ!みたいなノリでチケットを購入したのが今回の始まりでした。
VRというと、ゴーグル等を装着して仮想世界を体験するイメージの方が多いと思います。(私もそのようなイメージでした)
しかし今回の作品は、メガネもなにもガジェットは要らず肉眼でリアルに体験できる「VR」でした。
これね、結構脳が混乱するんですよ。笑
舞台をまじまじと見つめてみたけど「どうなんってんのこれ!?」という感覚でした。
あえて言語化するならば、そこに実体があったのに(見えていたのに)次の瞬間透けてる!!とかそういう感じなんですよ。
あなたどこから出現したんですか!??とかね。
確かに舞台構造上、正面からみて奥に映像を投影するスクリーンはあるんですが後ろとか手前に映像が映ってるだけとかそういうレベルではないんですよね。
端的に言うと「境界がわからない」んです。
解説にもありましたがこの作品は新作能ではあるものの、世阿弥が確立した夢幻能(現実と死者の世界など、霊的なものが登場するのが特徴)のスタイルと融合しています。
これは「攻殻機動隊」における現実と電脳世界の行き来などにも通じるものがあり、そこにVR技術が加わることによって「現実と幻の境界はどこなのか?」と観客に考えさせるという3重構造くらいになっているんじゃないかと思います。濃密ですね。笑
私は肉眼というか脳で認識している世界が確固たるものだという感覚はありますが、実はそれって曖昧なんじゃない?とか見えていない世界がすぐ近くにあるのかもね?みたいな不思議な感覚にもなったのでした。
スピリチュアルな方向というより、脳の認識ってバグりやすいし人によって見えているものって結構違うし、境界って見えないよねという話でありました。
衝撃のアフタートーク(内容が入ってこない)
鑑賞後に、出演者の方々によるアフタートーク(15分くらい)があったのですが、始まった瞬間(正確にはイスなどを準備されている時)私の脳は混乱を始めました。
なぜか。
言葉で説明するより、図解したほうがわかりやすいので稚拙な絵で申し訳ありませんがご覧ください。
なんか向こう側に世界が見えるよおお!????
今目の前にある光景を後ろからみた世界が見えるんですよ…。
もうアフタートークどころじゃないよ、なんなんですかあれは。
スクリーン?網??かなにかわからないものがそこにあるのはわかるのですが、よくよくみてもどこからが映像なのかわからず(私の目が悪いだけかもしれない)ひたすら脳がバグっていたのでした。
Twitter等で「アフタートークでそういうことだったのかとわかった」というような感想を書いていらっしゃる人もおりましたので技術的に詳しい人はわかるのかもしれない…。
敢えてかと思いますが、どういった技術なのかについてはトークでも解説されることはなく(わからなくて曖昧で考えてもらえるのが醍醐味、的な話もされていたのでたぶん意図的でしょう)最後までゆめか現かわからないような、幻想的な体験ができて楽しかったです。
ちなみに、このVR能より以前にメガネ有の「3D能」の公演もあったらしく、今後も進化していきそうな予感がするのでまた機会があれば観に行きたいと思います。
3D能のメガネは能の「面(オモテ)」の形で、観客が面を付けながら能を観劇、というこれまたトリッキーな舞台だったとか。
面白すぎる。